ビンテージギターやビンテージエフェクター同様、ピックアップにもビンテージ人気があります。
特に80・90年代にはかなり数のピックアップが発売になり、革新的なモデル、現在主流の原点となるモデルも多く興味深いものです。
ここでは発売時のトレンド、技術を楽しむのもいいと思いますが、敢えてマグネットの経年劣化の枯れ具合を楽しむのも
主要メーカーを中心に代表的なモデル、貴重なモデルから変わり種までピックアップの特徴を紹介していきます。
フェンダー レースセンサーゴールド (アクティブ)
現在では見た目も普通のピックアップと同じ外観に進化していますが、初代のレースセンサーと言えば、このタイプです。
このゴールドを搭載したストラトを初めて試奏した時の衝撃は忘れられません。
見た目が、完全にプラスチックで覆われているため、チープな感じがしましたが、ピッキングニュアンスを損なわないクリアーで存在感のあるノイズレスサウンドがイメージを吹っ飛ばしてくれました。
元々はエリック・クラプトンを納得させるために開発が進められたと言われているモデルで、50年代のヴィンテージサウンドを再現し、透明感とコシがあり、ハムバッカーを凌ぐノイズ特性を持った音色に仕上がっています。
ゴールドの他にブルー、レッド、シルバーの4種類のバージョンがあります。
ギブソン ダーティー・フィンガーズ
「ジョン・サイクスが長年愛用しているピックアップの為、試さない訳にはいかない!」と、かなり探したのですが、なかなか見つからなかった記憶があります。
ハムバッカータイプですが、この二個のボビンが両方ともネジタイプのポールピースとなっており、この見た目が特徴です。
このネジ式のポールピースはエッジが抑え気味のために、このボビンを二本使うことで中低域が強調され、パワーとサステインが特徴的な音となるようです。
エフェクターを絡めるのは難しいようで、アンプに直につなぐ方が楽しめそうです。
アラン・ホールズワースのピックアップはこのピックアップを元に作られたという話を聞いたことがあります。
癖の強いピックアップですから他には無い音を探している方には試してみる価値ありです。
セイモア・ダンカン SH-1’59モデル
ギブソンのオリジナルPAFを再現したピックアップは数多くありますが、恐らく1番有名なモデルです。
もちろん再現度も高く、アラン・ホールズワースが本物と変わらないと絶賛したモデルです。
オリジナルのPAFの設計者、セス・ラバー氏に直接構造や素材、工程までオリジナルに可能な限り近づけたモデル。
パワーが控えめでクリーンでタイトなサウンド、しっかりとしたミドルとバランスの良さがウリです。
ゼブラタイプのモデルをジャクソンのソロイストに取りつけていました。
パワーは控えめとなっていますが、十分なパワーがあり、ギターにもよりますがバランスが良いピックアップです。
セイモア・ダンカン SH-4 JBモデル
このモデルも長らく生産しているピックアップですが、実はモデル名にもある通りジェフ・ベックモデルです。
元々はSH-1を元に改良されたモデルです。
リアピックアップとして設計されてますが、太くて甘いトーンが特徴で、パッキングハーモニクス音が気持ちよく、パワーもあるため、ハードロックやメタルのギタリストに向いています。
ジャクソンのソロイストのリアに取りつけ、フロントのSH-1との相性も良かったピックアップです。
セイモア・ダンカン SH-5ダンカン・カスタム
このモデルはエディ・ヴァン・ヘイレンのリクエストにより作成されたモデルです。
オリジナルPAFにパワーを加えたサウンドはSH-4よりも高く、トレブルを若干抑えてまとめられています。
カルロス・サンタナの使用でも有名です。
セイモア・ダンカン ASP-1アルニコIIプロ・ストラト
SeymourDuncan PU セイモアダンカン ピックアップ APST-1 -Twang Banger 【国内正規品】
ビンテージピックアップに使われているのと同じアルニコマグネットは経年劣化する為、月日が経つと音質が良い感じに枯れる、育てる感じがあります。
アルニコIIはⅤに比べてより温かな甘いトーンが特徴。
ピッキングノイズが抑えられ、タイトなサウンドでジェフ・ベックも愛用しています。
これは今でもメインギターのフロントでいい仕事をしてくれています。
20年ほど経過してるため音質も変わってきているかもしれませんが、艶やかなトーンに病みつきになります。
ディマジオ Class of 55 DP-119
フェンダーの50年代ヴィンテージピックアップを再現したモデルです。
ポールピースの高さやボビンの素材、42ゲージのワイヤーなど細部までコピーしています。
しっかりとした低音と歯切れの良いサウンドにまとめられています。
現在では手に入れることは困難ですが、中古市場などで手に入れることができれば、経年劣化などの状況にもよりますが、オリジナルに近い枯れたサウンドが期待できそうです。
ディマジオ DP-110 FS-1
ディマジオの初期から売られているモデルでヴィンテージコピーと言うより、ノイズ対策やパワーを増して太いサウンドが得られるモデルです。
ディマジオDP-119をフロントとミドルに、DP-110 をリアにセットすると相性が良いです。
ディマジオ DP-117 HS-3
初期のイングヴェイ ・マルムスティーン・モデルとして有名なモデルです。
シングルコイルスタイルながら、実際は積層ハムバッキング構造でノイズ対策がされており、ポジションを選ばないピックアップで現在でも愛用するギタリストは多くいます。
私もこのピックアップは30年近く使用しています。
今でもローノイズとブライトなトーンには癒されています。
ディマジオ DP-151 PAF Pro
スティーブ・ヴァイやジョー・サトリアーニを筆頭に
ディマジオからもハムバッキングタイプで長らく愛用者の多いモデルがあります。
オリジナルPAFを基本にパワーを増やして輪郭をハッキリさせる事に成功しています。
4芯シールドでシリーズ、パラレルの切り替えや、フェイズアウトなどサウンドバリエーションが得られます。
EMG SA
アクティブ・ピックアップの代表的なメーカーでシングルコイルタイプの自信作。
プリ・アンプを内蔵し外来ノイズを完全に遮断されたこのモデルの特徴はヴィンテージストラトサウンドを元にミドルをプラスし、全体のパワーも増している。
パッシブピックアップからすれば異次元のクリアでタイトなサウンドが得られます。
EMG 81
SA同様、内蔵プリアンプで作られるサウンドは、クリーンで滑らかなサウンドでパワーもSAの倍あり、チューブアンプのオーバードライブも簡単に得られます。
アクティブらしく、多彩なサウンドを得ることも可能です。
ザック・ワイルドに憧れ手持ちのコピーのレスポールに取りつけたものの、あまり使った記憶がなく、先輩のギターとトレードした記憶があります。
バルトリーニ V-89
同社で有名な各弦ごとにアンプ出力を替えてステレオ仕様にしたり、音質を変えてみたりとユニークなモデルのイメージがありますが、オリジナルPAFサウンドを上品に再現したモデルもあります。
完全に密閉タイプで、ノイズ対策もしっかりされています。
クリーンでバランスの良いサウンドでエッジの効いた繊細なモデルです。
バルトリーニはエディー・ヴァン・ヘイレンが使用していましたが、たまたま入った楽器店でこのピックアップを搭載した改造ギターを見つけて試奏しました。
パラレル出力は試すことはできませんでしたが、クリアーで音質が良くノイズも少ない大変よくできたピックアップでした。
ビル・ローレンス L-500
バータイプのポールピースが特徴のこのモデルは、構造まで独特です。
ポールピースのまわりに直接コイルが巻かれているのではなく、ポールピースの両脇に空芯のコイルを取り付けるというアイデアでパワーがありながら、ブライトで低音の濁りが無くノイズも少ないという理想的なパッシブ・ピックアップです。
ヌーノ・ベッテンコートが使っていることでも有名ですが、私の周りにいるギタリストの大半がこのピックアップを使っていたように思います。
パワーがあって濁らない良いピックアップです。
エバンス E1-HL ホットリード
バルトリーニ同様完全密閉タイプでアルニコマグネット使用のパッシブ仕様です。
シングルコイルスタイルでありながら、1から3弦用と4から6弦用の2つの構造に分かれたハムバッカー仕様でノイズ対策もされています。
ヴィンテージ・ストラト・サウンドで中域にコシがあり、高音域も気持ち良い。
パワーもあるのでチューブアンプのドライブ感のクオリティの高いサウンド。
ジェフ・ヒーリーも愛用しています。