Gibson Les Paul Classicとは?
レスポールクラシックの特徴的なピックガードの刻印「1960」に表されているように、1960年製のレスポールスタンダードが基になっています。
1960年製ギブソンレスポールスタンダードとは
1952年に発売された「レス・ポール」ですが、当時はゴールドカラーで発売されていました。
その後、1954年に発売された「レスポール・カスタム」「レスポール・ジュニア」と区別するように1958年に「レスポール・スタンダード」としてモデルチェンジしました。
ボディカラーはチェリーサンバーストで、木目の美しさが目を惹く完成度で、ピックアップなどのパーツも変更されてます。
1960年に生産が終わるまでの僅か3年という短命に終わったモデルでした。
58年製のネックグリップはかなり太いと言われていますが、59年製も太めのグリップが多いようです。
私が見たことがある60年製のレスポールはネックが細めに仕上げられているとのことですが、太いネックグリップを触ったことがないため比較するものがなく違和感もありませんでした。
ギブソンレスポールスタンダードは当時、売れなかった失敗作?
公式に発表されているわけではないので、憶測に過ぎないのですが、3年で終わったということは思ったより売れなかったということでしょう。
上の写真のようにアンプと一緒にセット販売もされていたようです。価格は350ドル!
60年に生産が終了したレスポールはその後モデルチェンジをして復活します。
ボディ形状を変更し、現在の「SG」を当時は「レスポール・スタンダード」として販売しました。
デザイン変更と軽量化したのが良かったのか、売れ行きは良かったようですが、「レスポール」という当時の有名ミュージシャンとの契約(もともとはミュージシャンモデルとして発売)が切れたため、生産が完全に終了してしまいました。
なぜレスポールクラシックは1960年製がモデルなのか
これも当時の楽器屋の店員さんの話では、レスポールの再生産のキッカケになったエリック・クラプトンが1966年のアルバム「Blues Breakers with Eric Clapton」で弾いているのが1960年製のレスポールスタンダードだったからと聞いた記憶があります。
また、「LesPaulClassic」が発売された時代背景もありますが、1990年前後は、テクニカルギタリストの影響でネックが薄型のギターが主流になりつつある時代だというのも影響しているかもしれません。
それまでのギブソンギターの中でも比較的ネックグリップが薄い(細い)1960年製が基となったと考えられます。
しかし、アイバニーズなどの極薄ネックグリップに比べるとスリムネックの60年モデルも「太い」と感じていました。
Gibson Les Paul Classic 発売は1990年から
私の所有する1990年製のレスポールクラシックですが、実は89年製も存在するというのを聞いたことがあります。
1990年からの発売に合わせて89年のうちから準備していたのか、またはプロトタイプのような生産品が市場に流れたのかは不明ですが、ごく僅かな本数なのは間違いありません。
ヴィンテージギターの本数も僅か
ヴィンテージギターの代表格、オリジナルのレスポールは1958年から1960年までの僅か3年間で製造されたものを指します。
一説では1700本程度の生産本数と言われていますが、’58ゴールドトップの数も含まれているらしく、正確な本数は分からないようですが1200~1500本と言われています。
また、偽造されたものも数多くあるとも言われています。
当時の製造過程でシリアルナンバーはスタンプで押されたものなので、消えていたり、判読不明になっているものも多いようです。
日本円で数千万円するヴィンテージギターに偽物が多く含まれているなんて・・・
購入するには、骨董品や絵画の贋作同様、ある程度の知識と覚悟も必要になります。
レスポールクラシックはその中でも1960年製の特徴であるスリムネックを再現したモデルです。
手の小さい人や太いネックに違和感を感じる人には、大変気になるニュースでした。
発売開始の1990年は80年代からのテクニカルなギタープレイの影響でジャクソン、アイバニーズに代表されるようにスリムネックでジャンボフレットの仕様が多くなっていました。
こういった状況が関係しているかは不明ですが、私も友人のレスポールカスタムの太いネックに違和感を感じていたため、このスリムなネックは私の手にも馴染んだのです。
ギブソンレスポールクラシック90年代当時の値段とスタンダードとの違い
当時の販売価格はクラシック25万8千円でした。
レスポールカスタムが26万円、スタンダードが23万円の時代でした。
その後、為替の影響で、それぞれ2~3万円安い時期もありました。
グレードと位置付けも価格相応といったところでしょう。
ちなみに1960年当時のカタログに載っている価格は265ドルだったということです。
90年代のギブソンは木材の評判悪いのはなぜ?
あまりパーツに関しては深く考えてなかったのですが、クラシックはよりビンテージスペックに近いニッケルパーツ、スタンダードはクロームパーツと区別されていました。
評価の低い部分
このようにパーツ類の交換で済むような仕様変更ならまだよかったのです。
スタンダードのボディトップのメイプルが3ピースになっているなど通常のセンター合わせの2ピースの見た目に比べると明らかにチープな感じがしました。
木目の合わせ方も雑な(左右の杢目間隔がバラバラで、杢目もズレてる)感じがしましたし、ボディだけを見ると「コピーモデル」かと思うようなギターがあったのも確かです。
とは言っても、当時のフェンダーUSAも似たようなものでしたが。
どちらも、「カスタムショップ」に熟練の職人が流れてしまいベテラン職人が減ってしまったのが原因かとも言われてました。
90年製のレスポールクラシックの品質と評価、愛用しているアーティスト
90年製のレスポールクラシック購入時、生音とネックのフィーリングが気に入ったのが一番ですが、カスタムは同じバンドのボーカルが使っていたこと、スタンダードは周りのバンド仲間が使用しているのが多かったので差別化できるとも思いました。
購入した後に雑誌で、同モデルを使用しているギタリストは、ジョン・ノーラム(ヨーロッパ)、スティーブ・スティーブンス(ヴィンス・ニール・バンド)、ルーク・モーリー(サンダー)をはじめ、数多くのギタリストに使用されていました。
他には、ガンズアンドローゼズのスラッシュやフランク・ザッパの息子、ドゥィージル・ザッパのコレクションにも載っていました。B’zのギタリスト松本孝弘氏もゴールドトップを愛用してました。
このように多くの一流ミュージシャンにも愛用者が多く、信頼性の高いモデルだったことは間違いありません。
スタンダードとの違い:ネックの太さの違い
*スタンダードの画像はネットからの画像です。
ネックの感覚を表現すると、当時のスタンダードのネックは幅広でカスタムに近く、指盤は多少パサついた感覚で木目のあまり詰まってないローズウッドで、クラシックの指盤とは別物に感じたことが決め手になりました。
友人の所有していたスタンダードはネックグリップもクラシックよりは太目で、上記の写真でも分かるように「Gibson」ロゴはスタンダードがシルバー、クラシックはゴールドに近いシェルを貼り付けた手の込んだもの。
指盤のポジションマークもクラシックはヘッド同様、シェルを埋め込んでいて、実物を並べてみると高級感を感じる仕様でした。
このあたりが90年代のレスポールスタンダードの不人気となっているところかもしれません。
またヘッド形状もクラシックのヴィンテージ仕様のヘッドよりも大きく、カスタムに近い見た目で堂々とした風格がありました。
私にとっても初めてのGibsonでしたので、楽器店を何軒も回って試奏させてもらい、クラシックに決めましたが、その中で見た瞬間に「これっ!」と思う本機と出会いました。
さすがに当時の最高峰でした「リイシュー」は周りに使用している人はいませんでしたが、雰囲気も別格で正直、10代の私には違いは分かりませんでした。
カスタムショップもまだ発足する前でしたし、かなり高価なため、試奏すらしてませんが倍くらいの価格で、「手が出ない」というのが本音です。
クラシックに搭載されたピックアップの特性でもあると思いますが、当時のハイゲインアンプとの相性が良く、低音がタイトで程よくパワーがある音が特徴です。
レスポールクラシックプレミアムプラスとプラスの違い
GibsonLesPaul ClassicPlusが追加
レスポールクラシック発売時は1種類でしたが、しばらくして(1991年頃)「クラシックプラス」というモデルが追加されます。
搭載するピックアップもフロント496R &リア 500Tで全く同じで、他のパーツ類も同様。
唯一の違いはボディトップのメイプルが薄めのフレイムメイプルに代わっていることでした。
店員さんに聞くと、音の違いは個体差以外ないので完全に見た目だといわれました。
価格も当時30万円の定価で、私にとってはそれほど気になる個体ではありませんでした。
GibsonLesPaul ClassicPremiumPlusが誕生
しかし、1993年頃には更に衝撃が走ります。
クラシックプラスに次いで、「クラシックプレミアムプラス」が誕生します。
価格は35万円の定価です。例によって違いはフレイムメイプルが更に強力な見た目です。
あと、気になったのは「1960」の刻印が入ったピックガードが取り付けられておらず、ボディにネジ穴も空けられてない状態でした。
つまりトレードマークのピックガードは保証書などと一緒に別で渡されます。
店員さんは「この見た目でピックガード取り付ける人はおらん!」と言ってたのが記憶に残っています。しかもピックアップをはじめその他のパーツは同じ仕様です。
30年が経過した現在のレスポール 90年代コンディションと評価
購入から年数ばかりが過ぎ、殆ど弾かない時期もありましたが、上の写真をみるとかなりきれいなのですが、近くで見ると経年劣化による「ウエザーチェック」が入っていますし、このモデル特有のヘッドロゴ部分の塗装浮きが出てきています。
どちらかというと貫禄が出てきた状態です。
e-Beyなどで10年以上前に見た価格では当時の定価ほどの価格が付いていましたが現在では見かけなくなりました。
近年のレスポールクラシックとの比較
近年復活したクラシックとは別物になった感じがあり、試奏して気になったのは指板のローズウッドがパサパサした感じでタッチが変わったような感じがしました。
産地が変わったのか、色味も赤茶色に近く、見た目も締まった感じがありませんね。
「ローズウッド指盤は黒に近いものを選べ」と言われますが、ここまで変わってしまうと別の木材なのでは?と思ってしまいます。
ブラジリアンローズウッドはワシントン条約の対象となっていると聞いたことがありますが、現在ではローズウッド全体が対象となっているかもしれません。なりました。
ギブソン 90年代 品質:シリアルナンバーと製造年月日の確認
シリアルナンバー以外、製造年月日を調べる方法は知りませんでしたが、リアピックアップのキャビティ内に製造年月日が記載されているモデルもあると聞き、早速開けてみました。
すると「JUL 12 1990」とスタンプが押されていました。
1990年7月12日製造で、
ちなみにフロント側のPUキャビティには、「HCSB」と手書きの「Be~」か「Re~」?読めない落書きがあります。
カラーは「ヘリテイジ・チェリーサンバースト」そのあとは不明です。
詳しい方はお知らせください。
また、フレット、ナットもまだまだ余裕があるため購入時のままです。
今までネックの調整をしたことがないくらいコンディションが良く、弦高を低めにセッティングしてもビビりはありません。
ポット類もガリがなく、いつでもステージで使えますが、重い!
ストラトに慣れてしまうと、この重さとバランスは違和感があります。
個体のコンデションとギブソン レス ポール おすすめ 年代
購入当時、気になったのが、「Gibson」ロゴの部分がレスポール スタンダードのそれと微妙に色などが違うのです。
スリムなヘッドにこの金色に輝くロゴは90年代初頭は少々ケバく感じたものです。
スタンダードはもっとシルバーに近い色のロゴだったため、この金色感は当時かなり目立っていました。
また、中心部の「Les Paul」下の「MODEL」デカールは初期生産モデルの証です。
このように90年代初期のレスポールはかなりおススメできますが、90年中期以降はカスタムショップなども視野に入れた方がよさそうです。
変更パーツとレスポールリイシューやヒストリックコレクションに近づける?
レスポールリイシューやヒストリックコレクションに近づけるためにパーツを買おうかと考えましたが、基本的にはストックのままです。まずは変更点から。
チューンOマチックを他社製の同様タイプに交換しています。
オリジナルのものは(各弦のサドルを抑えるための)ワイヤー部分で共振が起こるのですが、楽器店で勧められたメーカーもモデル名も忘れましたがオリジナルと同様のタイプに交換しています。
ピックアップをマウントするエスカッションが割れてしまうため、割れる度に純正品に交換しています。
もしかしたらボディのアーチ部分がキツめなのかもしれません。
あとはストラップピンをシャーラー製に交換
以上です。
ピックアップはGibson Les Paul Reissue 1990に搭載のPAFを購入
ピックアップは本機購入時に中古のピックアップを購入しました。
それはレスポールリイシューに搭載されていたピックアップを見つけたためです。
ピックアップで音が半分以上変わってしまうので音がもっと良くなるかも?と思ったのが動機です。
しかし、実際はオリジナルのピックアップに満足してしまい、その時のピックアップは別のギターに取り付けた後、手放してしまいました。
上の写真はピックアップがカバードタイプになっていますが、これはオリジナルのピックアップ、496R、500Tにそれぞれピックアップのカバーを取り付けただけです。
実は購入した後にピックアップを交換しようと思っていたのですが、ピックアップのカバーを外すと音がラウドになるという記事を見たことから、その逆の発想でカバーを付けたら音がどう変わるか試してみたくなり、試したところ少しコモリ気味ではあるもののその音が気に入ったためそのままにしています。
写真には載ってない”1960”ピックガードですが、購入したその日に外して保管しています。