ミュージシャンにとって「自分のトーンを持つ」ということは一握りの者にのみ与えられる栄誉です。
中でも今回ひも解いてみるエリック・ジョンソンは職人気質なこだわりを持っています。
そこには耳の良さだけでなく理想のトーンを創り上げ、それを再現する技術に裏付けされています。
レスポール・スタンダード
アメリカテキサス州のオースティン生まれのエリックは幼少期にクラシックピアノを学んでおり、11歳でギターを始める。
1970年代初め「エレクトロマグネッツ」に参加し、テキサスでアルバムを大ヒットさせる。
このころの使用ギターは
「ギブソンのレスポールスタンダード」
ハムバッカータイプのピックアップはリード用にお気に入りだったが、リズム用には好みではなかったらしい。
ストラトキャスターにスイッチ
その後このレスポールを売り、58年製フェンダー・ストラトキャスターを手に入れる。
以前のインタビューでは75年頃からジミー・ヘンドリックスの影響でストラトキャスターをメインギターとして使うようになる。
ブラックカラーのボディに太めのメイプルネックで
太めのフレットが打たれており大変気に入っていたらしいのですが82年に盗難に遭っています。
58年製サンバースト
その後85年頃入手した58年製のサンバーストカラーのストラトキャスター。こちらも色々と手が加えられている。
ジムダンロップのジャンボフレットに打ち替え、ミドルピックアップのトーンをリアピックアップに付け替え、フロントピックアップのトーンをキャンセル。
ミドルピックアップには60年代中期の磁石の極性が逆になっているものに交換し、ハーフトーン時にハムキャンセルできるようになっている。
このギターは主にリズムチャンネルで使用されている。
54年6月製サンバースト(メイン)
77年ごろから使っているメインギターで54年6月製のサンバーストのストラトキャスターは指板をフラット気味に削り、
ジムダンロップのジャンボフレットに打ち替え
ミドルピックアップのトーンをリアへ付け替えている。
リアピックアップのみディマジオのスタックタイプに交換。
これも片方のコイルのみ配線している。
つまり(本当の意味で)シングルコイル。
その他はギブソンES-335を遥かなるドーバーで使用している他、
51年製のフェンダー・テレキャスターは「スティーブに捧ぐブギ」で使用している。
エリック・ジョンソンの使用している弦の種類と弦高、ピックは?
他には90年頃ピックアップメーカー「ヴァンザンド」と契約している為、ヴァンザンド製ピックアップが使用されている可能性もあります。
使用弦はGHSの.010~.046のセットを使用。
この弦に合わせてピックアップのスタッガードポールピースの高さ調整がなされています。
これは4~6の巻き弦と1~3の裸弦の音量バランスをとるためで、今ではあまり聞かれなくなりましたが、20年ほど前まではポールピースを叩いて、または削って調整する人もいました。
失敗してビンテージピックアップを断線させたり、ボビンを割ってしまったりといった事故をよく聞きました。
弦高もかなり低くセッティングされていますが、指板をフラット気味に削っているのもそのためでしょう。
ピックはジムダンロップのジャズⅢの赤色を使用。
これは減りにくい材質で出来ており、小さく先端が鋭いという特徴があります。
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