
フェンダージャパン(Fender Japan)は1980年代〜2000年代にかけて国内で生産された国産フェンダー群の総称です。価格と品質のバランスが良く、近年中古市場での人気が再燃。この記事では「シリアルの見方」「当たり年」「中古相場」「レアモデル」を網羅し、特に“最高傑作”と称される1994年40周年記念ST54-150ASを深掘りします。買う前に知るべき実務的なチェックリストと相場感も用意しました。
目次
- 1. シリアル番号と真贋チェック
- 2. 当たり年と選び方
- 3. 94年 ST54-150AS(40th)— 完全深掘り
- 4. 中古相場と売買のコツ
- 5. 評価・口コミまとめ
- 6. カタログで辿る履歴
- FAQ(よくある質問)
1. シリアル番号と真贋チェック
フェンダージャパンの真贋判定でまず見るべきポイントは「シリアルの位置・フォーマット」と「外観の整合性」です。シリアルがヘッドに無くても即偽物ではありません。ネックジョイントやネックポケット内部、ネックプレートの刻印など複数箇所を照合してください。
チェックリスト
- ヘッド裏・ネックプレート・ネックポケットの刻印/スタンプの整合性
- ロゴや“Custom Edition”デカールの位置とフォント
- ピックガード素材(アルミ/樹脂)の正否
- PUの型番・スタンプ(例:Blue Velvet等)と配線の痕跡
- ネック仕上げ(オイルかグロスか)と塗装の不整合
コツ:「パーツが欠けている」「一部だけやたらピカピカ」な個体は改造の可能性が高い。写真で判断する際は、ネックプレート刻印とPG(ピックガード)を拡大して確認してもらうとミスが減ります。
2. 当たり年と選び方
一般的に「当たり年」とされるのは1982〜1985年や、各ジャンルで評価が高い個体が集中した各年代です。ただし「当たり年」は用途(演奏性/音色/投資)によって変わります。
モデル別の当たり年感
モデル | 当たり年の傾向 | 狙いどころ |
---|---|---|
ストラト | 82–85, 94(40th) | 材質セレクト個体、オイルネック |
テレキャスター | 80s中期〜90s前半 | カスタムEdition/限定色 |
ジャズベース | 90s初頭 | プレシジョン系の安定感重視 |
狙い方:「演奏重視」ならネックの感触(オイルかグロスか)とフレット残を重視。「投資」なら完品(オリジナルPG・PU・ケース・書類)を狙うのが鉄則です。
3. 1994年 ST54-150AS(40th Anniversary)
94年の40周年記念ストラト、しばしば「ST54-150AS」と呼ばれるモデルについて、スペック、見分け方、サウンド、相場、売買の実務的コツまで一気に解説します。
- 型番:ST54-150AS
- 発売:1994年(40th Anniversary、Custom Edition扱い)
- 当時定価:¥150,000(ギグバッグ等付属)
- 主な特徴:セレクト材(ライトアッシュ)、オイルフィニッシュの1ピースメイプルネック、アルミ製ホワイトピックガード、ゴールドハードウェア、DiMarzio Blue Velvetピックアップ搭載
- 生産数:少量(国内限定・少数説あり。通説で「40本説」があるが確証は限定的)
仕様
箇所 | 仕様 |
---|---|
Body | ライトアッシュ(Very Light Weight) / ヴィンテージマット仕上げ |
Neck | 1ピースメイプル / オイルフィニッシュ / 21フレット相当 |
Pickups | DiMarzio Blue Velvet ×3(N/M/R) |
Pickguard | アルミ製ホワイト(焼付塗装) |
Hardware | ゴールド(ブリッジ・ペグ等) |
Color | AWB(Anniversary White Blonde)など |
見分け方(偽物・改造回避の具体チェック)
- ネックプレート刻印:「40th ANNIVERSARY」の刻印があるか。フォント・配置の違和感を確認。
- ピックガード素材:アルミ製かどうか(光沢/厚み/端の加工で判別)。樹脂に塗装しただけの偽装もある。
- PUの整合:DiMarzioの刻印や配線の青色ワイヤー等、裏配線の痕跡をチェック。
- ネック仕上げ:オイルフィニッシュ特有の「べたつかないが吸い付く」感触。強い艶は再塗装の可能性。
- ゴールドパーツの摩耗:均一なエイジングか、局所だけ極端に綺麗かを確認(後者は交換の疑い)。
- デカールと紙物:Custom Editionデカール/元箱や説明書の有無は重要な加点材料。
サウンド&演奏性
- 音色:Blue Velvetは50s系の暖かさと落ち着きがありつつ、トップの切れは良好。アンサンブルで埋もれにくい。
- 弾き心地:オイルネックの“吸い付き”はテンポのあるプレイや細かいフィンガリングに向く。
- 総評:カスタムショップ級の仕上がりを、当時の価格帯で出した稀有な存在。演奏派にもコレクターにも刺さる。
中古相場
状態 | 国内目安価格 |
---|---|
並(PU/PGに非純正改造あり) | ¥180,000 前後〜 |
良(純正パーツ多め、軽微な使用感) | ¥220,000〜¥300,000 |
極上(完品、書類・ケース付) | ¥300,000〜¥350,000 程度 |
注意:海外の出品価格(Reverb/eBay等)は表示価格が高めに出やすい。実売額は国内オークションや過去落札実績を基準に判断するのが現実的です。
- アルミPGが純正か優先的に確認。交換品は価値を大きく下げる。
- PUがBlue Velvetであること。交換されている場合は元PUの有無を確認。
- ネックのトラスロッド余裕とフレット残を具体数値で聞く(例:「トラスロッド±2回し余裕」「フレット残7割」など)。
- ゴールドパーツの欠品は修復コストを見積もる(ネジ類・スプリング等の小物も影響大)。
- ケース・説明書・販売証明がある個体は+αで評価。
4. 中古市場と売買のコツ
フェンダージャパン全体の中古市場は「狙い目」が残っています。特に「シリアルがはっきりしている」「オリジナル度の高い」個体は買い手が付きやすい。
売るときのチェックポイント(業者に査定に出す前に)
- 写真は「ネックプレート刻印」「ヘッド全景」「ピックガード裏」「フレットの近接写真」を必ず用意。
- 交換箇所は全て開示(隠すとクレームの元)。
- 付属物の有無(ケース・書類)は必ず明記。
- 相場調査はヤフオクの落札実績、デジマート・Reverbの成約例を確認。
5. 評価・口コミまとめ
- ストラト系:コスパ高。特にオイルネック個体は弾き手に好評。単なる「コスパの高さ」にとどまらず、特に1990年代のオイルフィニッシュ・ネック採用モデルは「手に吸いつくような質感」「コードワーク時の立ち上がりが速い」といったコメントが多い。
一方で、ゴールドパーツのメッキ剥がれや経年による黄ばみを「味」と捉える声もあれば、「見栄えが落ちる」として減点材料とするコレクターもいる。総じて「実用と鑑賞のバランスが取れた一本」として中古市場で安定した人気を保っている。 - テレキャスター系:限定色・カスタムEditionの人気が高い。限定色やCustom Editionの仕様に高評価が集中。「通常のフェンダージャパンより抜けが良く、歪ませても輪郭が残る」とプレイヤーから支持される。
また、シンプルな構造ゆえメンテナンス性が高く、「長く付き合える実戦機」との声も多い。中古市場では限定色の人気が突出しており、希少カラーはプレミア価格で取引されるケースが目立つ。 - ジャズベース:90年代初頭の個体は「音が太く使いやすい」と評価される。90年代初頭の個体は「音が太く、バンドアンサンブルで埋もれない」と高評価。特にアッシュボディ+メイプル指板の組み合わせはパンチのある低音が得られるとされ、スタジオミュージシャンからも指名買いされるほど。
ただし重量個体が多く、「長時間のライブで肩や腰に負担がかかる」という声も少なくない。音質を優先するプレイヤーには絶大な支持があり、実用主義ベーシストからは“掘り出し物”とみなされることが多い。
6. フェンダージャパン カタログ
カタログや個人がスキャンした資料がネットに散在します。記事内では代表的な年(1982 / 1987 / 1993 / 1994)を参照し、主要な仕様差を比較表で示すと読者の信頼を獲得しやすいです。
6. カタログで辿るフェンダージャパン史(実務リンク集)
フェンダージャパンは1982年の誕生から2000年代半ばまで、毎年のようにカタログを発行していました。これらのカタログは仕様や品番の変遷を確認するための最良の一次資料です。ここでは、代表的な年代のカタログと特徴を一覧化しました(リンクは公開されているアーカイブや資料サイトに対応)。
- 1982年 創刊カタログ: フェンダージャパン誕生。JVシリアル期。USA譲りの高品質仕様を打ち出した初期ラインナップ。
- 1985年 カタログ: スクワイアブランド併売期。廉価版と上位機種の住み分けが明確化。
- 1987〜1989年: EXTRADシリーズ登場。国産最高峰の位置づけで、USAカスタムショップに迫る完成度を誇る。
- 1992年 カタログ: スタンダードライン拡充。ST-57、ST-62といったリイシュー系が定番化。
- 1994年 40周年記念カタログ: ST54-150ASなど記念モデルを収録。プレイヤーズグレードからコレクタブルモデルまで幅広く展開。
- 1997年〜: フォトフレイムシリーズ登場。見た目の豪華さとコストパフォーマンスで人気を博した。
- 2002年 カタログ: JG、JMなどオフセットモデルの復刻が本格化。新しい層へのアプローチ。
- 2005年頃: フェンダージャパン最終期。カタログはオンライン公開もされ、Fender USAとの仕様差が徐々に縮小。
中古市場で個体を調べる際は「カタログ掲載の正式品番」「カラーコード」「発売当時の定価」を押さえておくと真贋判定や価格交渉の根拠になります。特にEXTRADや40周年記念のような限定・上位機種はカタログの記載がオーナー証明の役割を果たすことも多いです。
FAQ(よくある質問)
Q1. シリアルが無い個体は偽物ですか?
A1. 必ずしも偽物ではありません。塗装・リフィニッシュやネック交換で消えることがあります。ネックポケットやネックプレートの刻印、パーツ刻印で照合してください。
Q2. 「当たり年」はどの年ですか?
A2. 用途により変わりますが、一般的には1982〜1985年が高評価。94年のST-150ASは“最高傑作”の一角として別枠で語られます。
Q3. ST-150AS(1994)は買いですか?
A3. 演奏派・コレクターともに「買い候補」。ただし純正度(PG/PU/プレート)と付属品が整っているかを重視してください。
Q4. 中古の相場はどう調べれば良い?
A4. ヤフオクの落札履歴、デジマート、Reverb、過去の店頭買取実績を比較してください。海外提示価格は参考程度に。
Q5. レアモデルの保管/手入れのコツは?
A5. オイルフィニッシュは過度なワックスやクリーナーを避け、湿度管理(40–60%)と温度変化を抑えること。ゴールドパーツは研磨で輝きを戻しすぎると価値毀損になる場合があります。
まとめ(短い所見)
フェンダージャパンは「演奏性」と「コストパフォーマンス」のバランスに優れ、まだまだ中古市場で美味しい領域が残っています。特に1994年のST-150ASは性能・希少性ともに手堅い一品。購入前は「ネックプレート刻印」「アルミPGの純正度」「PUの整合」を必ず確認し、国内落札実績を上限指標に価格交渉してください。
(この記事はフェンダージャパンの一般的な情報を整理したもので、個別の真贋保証や査定価格を約束するものではありません。購入時は現物確認を推奨します。)
ギター練習用?
確かに最初に「Fender Japan」ブランドを立ち上げるにあたって初心者向けともとれるような「低価格帯のフェンダー公認コピーモデル」として発足してはいるものの、
ブランド設立以前、USA製のクオリティーに追い付け追い越せで(想像ですが)技術を高めてきた職人たちが製作する作品ですから、価格以上の価値があるのは確かです。
「初心者の頃、最初に買ったギター(フェンダージャパン)で練習用としてだけでなく、20数年経っても現役で活躍している」といった人もいます。
決して「頑丈」とかそういった意味ではなく、手入れを怠らなければ、ギターの腕が上達しても限界を感じることなく使用できるということでしょう。

Fender エレキギター Made in Japan Traditional 60s Telecaster®, Rosewood Fingerboard, Lake Placid Blue
①CUSTOM EDITIONの存在
あまり教えたくないけど・・・
といった状況ですが、私は以前から中古楽器店を覗いて、ピンッときたギターを試奏させてもらい、気に入ればパーツの交換状況や修理箇所などを店員さんに確認し、値段に見合っていれば購入しています。
最終的に購入に至るまでのギターはそんなに多くはないので5%以下位かもしれません。
こうやって購入した中古ギターは、たいがいフェンダージャパンのEXTRAD、CUSTOM EDITION、通常ラインであればラッカーフィニッシュの上級モデルが多いです。
お手頃な中古ギターを探していると、フェンダーUSAのストラトキャスターなどは全体的に高いので、余程気になる個体以外は購入には至りません。
しかし、フェンダージャパン のEXTRAD、CUSTOM EDITION、通常ラインのラッカーフィニッシュの上級モデルに関しては購入する確率は高いような気がします。
ボディやネックまでしっかりと振動して「鳴っている」感じが伝わりますし、ギター本体が鳴っていれば電気回路の交換次第で驚くほどのクオリティに生まれ変わります。

②シグネチャーモデル
別のページでも紹介していますが、
リッチー・コッツェン、イングヴェイ・マルムスティーン、リッチー・サンボラ、リッチー・ブラックモア、
他にもノーキーエドワーズやThe Venturesの3人Garry McGee(ギター)、Don Wilson(ギター)、Bob Bogle(ベース)
といった誰もが知るトップアーティストから半世紀を超える音楽活動を行っているベテランまでラインナップしており、それも決して見た目重視のモデルではなく実際にライブやレコーディングで使用されています。
この辺りのクオリティの高さからも選択する価値は高いと思います。
中古ギターがおススメ
よく巷で言われている、「JVシリアル」「SQシリアル」「Eシリアル」など初期の生産品を「出来がいい」と売り文句にしているお店や、声もよく聞きます。
私の感覚では初期のものでも「ハズレ」個体がありますし、長い年月の保存状態やメンテナンスの仕方や、頻度、扱い方によってコンディションは開きがあります。
ましてや、ベースグレードではあまり期待できるスペックではないと思います。
ヤフーオークション、メルカリなどでもよく見かけますが、型番を確認したら下のグレードで、ポリ塗装となれば私は手を出しません。
むしろCUSTOM EDITIONのように通常ラインとは切り離して上級者向けとして企画された、材質から厳選した個体は鳴りのいい確率は間違いなく高くなります。
初心者ギターにもってこい
初心者が初めに購入するギターはどんなものでしょうか?
まず皆さんが最初に検討するのは「初心者向けのセット」ではないでしょうか?
ギターに限らず、釣り具、スノーボード、スキー、テニス、ゴルフと挙げればきりがないのですが、
手頃な値段で一通りの必要な材料が揃うので買いやすいですし、いつまで続けられるか不安なので、といったところですが、その多くは上達と共に物足りない、または壊れるといったことで買い替えが必要になります。
またいくつかの初心者向けギターは、安さを第1の目的にしている為にチューニングが安定しない、フレットの端などの処理が適当で指に引っ掛かりがあり弾きにくい、電子パーツの質が悪いためノイズが気になる、などがあります。
これでは演奏する気が失せてしまいます。
初心者ならギターをやめてしまうかもしれません。
これでは、音質以前の問題です。
付属のシールドを練習スタジオの大きなアンプに繋げると、線の細い音質でノイズを拾い・・・という状態でした。
初心者向けセットがすべてこのレベルとは言いませんが、練習スタジオで知り合った学生さんが使っていた機材がこの状態でした。

【国内正規輸入品】アンプシミュレーター KEMPER PROFILING AMP ホワイト
使える中古ギター選び

ヤマハ YAMAHA THR Head モデリングギターアンプヘッド THR100HD
私なら最初に愛着のある気に入ったギターを選び、後に機材を買い足す方が後々もずっと使えるので無駄にならず良いのではないかと思ってます。
新品購入となると予算も気になるかもしれません。
その選択肢として中古のギターという方法があります。
中古ギターと聞くと、「使い古しで使い物にならない」「音が良くなく手放した、いわゆるハズレ」「不用品」をイメージするかもしれませんが、「増え過ぎた楽器を整理するためめ泣く泣く売却されたもの」「金欠の為」「楽器店で傷有りなどの訳あり品」なども含まれるため、一概に「悪い、粗悪品」ばかりではありません。
中には現在ではあり得ない貴重なパーツ、高品位なグレードが手ごろな価格で手に入る、「掘り出し物」に巡り合えるかもしれません。
以前のようにギターアンプが無いとギターサウンドが出せない時代ではなくなりました。
スマートフォンと連携させる器具やAMPlugのようにアンプシミュレーターもあり、練習環境、方法もかなり選択が広がっています。

Fender(フェンダー) Locking Tuners ギター・ペグ (クローム) [輸入品]
ギター中古店に眠っている
中古ギターを扱っている楽器店覗いてみましょう。
今やヴィンテージギターは専門店以外で目にすることは少なくなりました。
高い値段で売られているヴィンテージギターは試してみても「こんなものか」と思うことが多く、ハズレも多いのですが、
一方ヴィンテージ専門店で並んでるものは欲しくなるクオリティではあるものの、値段はとんでもなく高かったりします。
ヤフオク等のオークション、メルカリ、ラクマなどのフリマアプリでは売ることはあっても、ギター本体を買うのは、品質が分からないだけに避けてます。
そんな私も数件お気に入りの中古楽器店があります。
20~30年前から比べるとずいぶん減ってしまいましたが、お店の「仕入れの目利き」が良いところは生き残っているようです。
今回はフェンダージャパンに絞って見ていきましたが、時代に流されることなく、完成されたギターを忠実に再現する技術は我々プレイヤーの心を満たしてくれる、ギタリストの表現を豊かにしてくれる武器となるでしょう。