
現在では日本製のギターでも数十万円という価格帯は珍しくなくなりました。
素材選びから仕上げまでこだわったギターを見かけることもあります。
一方、1960年代から1990年代のように品質が良く低価格というギターは少なくなっているように感じます。
もちろんこの頃に製造された全てという訳ではないのですが、一部の上位機種においてはフェンダーやギブソンのオリジナルをも凌駕するクオリティーを実現している個体から、そこから発展させたオリジナルモデルの中にも高品質なモデルが存在します。

ソリッドボディーのエレキギター
1949年から登場したソリッド(空洞のない)エレキギター(レオ・フェンダーのフェンダーエスクワイヤー)ですが、ピックアップを搭載してアンプで鳴らすことが前提となりますが、それまでのアコースティックギターと比べてハウリングの少なさなどが評価されます。
1950年代より日本でもエレキギターの製造が始まっています。
この時代に登場したメーカーの大半は消滅してしまったようです。
コピーから?酷評
日本製のエレキギターですが初めからコピーモデルを作っていたわけではないようです。
「ビザールギター」とも言われる多彩なデザインのギターが登場しています。
コピーモデルが発売されたのは1966年ごろレスポールのコピーが登場しています。
その後ストラトキャスターのコピーも出始めています。
本家の「Gibson」「FENDER」をモジった名前をネックのヘッドに冠していたため、所詮低価格帯の「初心者向け」というイメージが強いようです。
これに対し1960年代のエレキブームにより、コピーモデル以外にも様々なモデルが国内メーカーから発売されます。

日本製のコピー技術
当初は品質も様々で価格重視のモデル、再現度の高いモデルがありました。各社より完成度を高めたモデルを競うように発売していました。
そのため海外にも多数輸出され、人気を博したモデルもあったようです。
後にギブソン社がレスポールの再生産をするにあたって
日本製のコピーモデルを買い漁り、データを取っていたのではないかというのを楽器店店主から聞いたことがあります。
レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジも日本製のコピーモデルを所有し、日本公演ではステージで使用していたほどです。
現在でも愛用者は多く、特定のモデルはコンディションが良いとすぐに売り切れてしまいます。
ヴィンテージレスポールの生産本数:当初レスポールは売り上げ不振のためSG生産へ

現在ではとても貴重で高額なギターの代名詞となってるギブソンレスポールですが特に人気がある1958年から1960年製のわずか3年間での生産本数は約1500本ですが、現存しているのは約2000本と言われています。
おかしな話ですが、かなりの数の「偽物」が含まれているのです。
この中には恐らく日本製のコピーモデルが本物に見えるように「意図的に」手が加えられ、本物として数えられている可能性があります。
高い技術と低価格で市場を席捲していた日本製のギターは海外メーカーの経営を長らく揺るがすことになります。
この頃には国内メーカーも独自のデザインのモデルが多数発売されており、主に1970年代から1980年代に生産されたギターが「ジャパン・ヴィンテージ」と呼ばれているようです。
近年、ユーチューブなどで話題になっています中国製の通称「チブソン」(チャイニーズギブソン)レスポールはロゴまで、見た目はそっくりに作られていますが中を開けてみるとかなり雑に作られていて、かなり悪意のある贋作でしたが、年々完成度の高いコピーモデルを作っているようですので注意が必要です。
ネットショッピングなどでかなり安い値段で販売されているようです。
演奏してみれば分かるような代物ですが、これから始める方や実物を見ないで購入する場合は注意が必要です。
フェンダージャパン誕生も偽物扱い?
1982年には米国のフェンダー社が、神田商会にライセンス使用を許可し、富士弦楽器製造が生産する日本国内専用としてフェンダージャパンが誕生しました。
当時ギブソンはコピーモデルを発売している生産者に対し、訴訟を起こしています。
これは賛否両論あるもののギブソン社は当然ですが利権を守るために起こした裁判でかなり疲弊しています。
これを逆手に取ったフェンダーの作戦は、同時に日本製の高い技術を認めたことでもあります。
ただこの頃、その他のギターメーカーも勢力的にミュージシャンとの商品開発を進め、エレキギターのメーカーや種類などが爆発的に増えていきます。
しかし値段の「高い」USA製が本物で値段の「安い」JAPAN製はニセモノのような扱いを受けることもありました。
神田商会の戦略
フェンダー社の日本国内向けで低価格モデルという制約があるものの、国内向けに「安いだけではない」商品ラインナップには目を見張るものがあります。
1984年には、コストパフォーマンスモデルとして「ZINGER SERIES」が発売となる。
ミディアムスケールのストラトをはじめ、57年モデル、62年モデル、72年モデルが定価5万5千円という値段で販売されていました。
プレジションベース、ジャズベース、テレキャスターもラインナップに加わっていました。
注目すべきは「イングヴェイマルムスティーンのリクエスト」というスキャロップ加工が施されたローズ指板の72年タイプのストラトが発売されます。値段は少々高く6万5千円。(それでもお買い得感があります。)
低価格の為アッセンブリー一式は日本製(ピックアップ含む)でヴィンテージシリーズと差別化されていました。
この「ジンガーシリーズ」は1987年には「カレントシリーズ」に吸収されるようです。
奇跡のストラト!ST54-150AS徹底解説【評価・価格・中古相場】
1994年、フェンダージャパンが40周年を記念して限定40本のみ受注生産した「ST54-150AS」。本家フェンダーカスタムショップに迫る完成度ながら、当時15万円という破格で発売され、今なお「奇跡のストラトキャスター」として語り継がれています。本記事では、ST54-150ASの仕様・評価・中古相場・レビューを徹底解説し、さらに他モデルとの比較も交えて、購入検討者やコレクター必読の情報をお届けします。
フェンダーカスタムエディション:日本製高級モデルが登場

1986年から1997年の製造工場が変わるまで製作されていた「EXTRAD」「Costom Edition」は
アニバーサリーシリーズからビンテージスタイル、オーダーモデル、ミュージシャンシグネチャーモデルなどが世に出ますが、
パーツ類もUSA製、配線にビンテージワイヤー、ネック材にはフレイム、バーズアイメイプルを使うなどこだわりのレアモデルです。
もちろんボディー材も厳選された材料が使われており、USA製を凌ぐクオリティーを誇ってました。
まさにコレクターが買い漁っているのはこの辺りのモデルが多く、コンディションにもよりますが当時の新品価格を上回るものもあります。
下の写真のモデルは1994年製のストラトキャスター40周年モデルです。
いくつか価格帯の違うモデルが発売されていましたが、その中でも最高峰に位置するモデルがこのST54-150ASです。

40周年にちなんで、40本の製作ということで当時の定価は破格の15万円でした。
USA製の40周年アニバーサリーモデルが発売されましたが、あまり興味が湧かなかったのを覚えています。
価格も25万円前後だったように記憶しています。確か世界1994本の限定生産品。
ハードケースが付属ですが、いつもの角ばったケースではなかったのを覚えているくらいです。
楽器店で弾き比べをさせてもらったのですが、サウンドも気に入ったのはフェンダージャパンの方でした。
94年当時でも15万円の価格は破格で、あっという間に売り切れてしまったようです。
私も購入できたのは幸運だったと思います。
音の方もかなり気に入っており、ネックのグリップが最高です。
ボディー、ネック共に薄目の塗装で、木の肌触りが心地よく、Vシェイプネックの良さにハマりました。何よりも造りがしっかりしており、ネックの反りもありません。
ボディ、ネック共に「鳴っている」感じが手や腹に伝わってくる感じが良いですね。
生音も大きめですが、ディマジオのブルーベルベットピックアップとの相性も良いため、発売当時のままで使用しています。
ピックガードが金属(アルミ製焼付塗装)なのが影響しているのかもしれませんが、タイトな音質は独特なものがあります。
ちなみに、現在ネットを検索してみると20万円以上の値段が付けられています。
私の所有個体は2本共にバーズアイメイプルネックですが、ネットで発見した、販売されている(現在は非売品)個体は柾目ネックです。

ST54-150ASの仕様と特徴【ストラトキャスター最高峰】
ST54-150ASは、その名の通り1954年製ストラトキャスターをベースにしたリイシューモデル。厳選された材、オイルフィニッシュの極上ネック、手巻きピックアップなど、当時のフェンダージャパンの職人技術を結集させた一本です。
- ボディ: 厳選アルダー/アッシュ材(個体差あり)
- ネック: 1ピース・メイプル、オイルフィニッシュ仕様
- ピックアップ: 手巻きPU、立体感あるサウンド
- 塗装: 薄いラッカー仕上げで経年変化が美しい
- 限定数: 40本受注生産(1994年)
- 発売定価: 150,000円
当時としてはUSAカスタムショップ並みの仕様を、日本国内の価格で手にできた点が驚異的でした。
ST54-150ASの評価・口コミまとめ
実際に所有・演奏したプレイヤーからのレビューを整理しました。
- サウンド: 「立ち上がりが鋭く、クリーンも歪みも粒立ちが良い」と評価。
- ネック: オイルフィニッシュの手触りは「一度触れると戻れない」と評判。
- 比較: 「同年代のUSAカスタムショップに引けを取らない」という声も多数。
特に「音が前に出る」「アンサンブルで埋もれない」といった点は、ライブプレイヤーからも高い支持を得ています。
中古相場と投資価値【ST54-150ASの市場価格】
中古市場におけるST54-150ASの価格帯は40〜70万円が目安。ただし、状態・オリジナル度・付属品の有無で大きく変動します。
- 美品・オリジナル完備: 60万円以上の高値も珍しくない
- 改造・パーツ欠品あり: 40万円台に下落する傾向
- 市場流通量: 年間でも数本程度しか出回らない希少性
コレクター市場では「投資価値あり」とされ、今後も安定的に価値が維持されると見られています。
ST54-150ASと他モデルの比較表
同じ40周年記念期のモデルやUSA製カスタムショップと比較してみましょう。
モデル名 | 発売年 | 定価 | 限定数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ST54-150AS | 1994年 | 150,000円 | 40本 | オイルネック・薄ラッカー・手巻きPU |
ST62-115AS | 1994年 | 115,000円 | 限定数不明 | ローズ指板・アニバーサリープレート |
USAカスタムショップ 54RI | 1994年 | 40万円前後 | カスタムオーダー | ヴィンテージ精度の高いリイシュー |
表から分かるように、ST54-150ASは価格帯こそ低めながら、仕様と完成度はカスタムショップ級。これが「奇跡のストラト」と呼ばれる所以です。
ST54-150ASを探す・購入する方法
現在、ST54-150ASは一般店舗に並ぶことはほぼなく、中古楽器店・専門オークション・コレクター間取引で見つけるのが現実的です。購入時は以下を必ず確認しましょう。
- シリアルナンバー(Tシリアル94年製)
- 40周年記念プレートの有無
- ネック裏のオイルフィニッシュ質感
- カタログ掲載の証拠資料
ST54-150AS オークション価格推移データ
フェンダージャパン ST54-150AS は、発売当時の価格が15万円と破格でしたが、中古市場ではその希少性から年々価格が高騰しています。ここでは、実際に確認された取引データを時系列で整理しました。
年 | 取引プラットフォーム | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|
1994年 | 新品販売(国内) | 150,000円 | 40本限定の受注生産。カタログ掲載価格。 |
2010年頃 | 国内楽器店 中古 | 約200,000〜250,000円 | 「美品」表記での販売記録あり。 |
2018年 | メルカリ | 約100,000円 | 付属品欠品個体。比較的安値で落札。 |
2020年 | 国内オークション(ヤフオク) | 約350,000〜400,000円 | 付属品完備の美品。海外ユーザーの入札も確認。 |
2022年 | eBay | 約4,000USD(≒45〜50万円) | 海外市場での高評価。落札後すぐに完売。 |
2024年 | 国内楽器店(委託販売) | 約600,000〜700,000円 | 状態極上、付属品完備。展示即売レベル。 |
このように、2010年代までは20万円前後で入手可能なケースもありましたが、2020年代以降は国内外のヴィンテージ市場全体の高騰と相まって、ST54-150ASも一気にプレミア化しました。特に状態が良く、オリジナルパーツが残った個体は「投資対象」として見られることも多く、現時点では50〜70万円クラスが相場と考えられます。
よくある質問(FAQ)
ST54-150ASの中古相場はいくらですか?
状態や付属品により異なりますが、一般的に40〜70万円で取引されています。しかし、1998年頃、楽器店の中古品コーナーで改造品でしたが7万円程度で売られていたのを見かけたことがあります。
ST54-150ASは投資価値がありますか?
はい。限定40本の超希少モデルであり、今後も価値の下落は考えにくく、コレクター市場では投資対象と見なされています。
ST54-150ASとUSA製カスタムショップの違いは?
USA製は価格が高い反面、ヴィンテージスペックの忠実再現度に優れています。一方ST54-150ASは贅沢な厳選された材を使用し、コストを抑えつつ職人技で仕上げられており、完成度はカスタムショップに匹敵します。
人気の高いジャパンヴィンテージギター
・フェンダージャパンが1982年より製造の「ヴィンテージシリーズ」として通称「JVシリアル期」と言われるシリーズで上位機種にはUSA製ピックアップやラッカーフィニッシュ仕様などもありました。
その他のメーカーでは、
・ヤマハ SG カルロス・サンタナ、ボブ・マーリー、高中正義などの使用で有名
・アリア PE レスポールシェイプで小ぶりなボディーで「アルカトラス」時代のイングヴェイ・マルムスティーンが使用していた。
・アイバニーズ AR
・グレコ ミラージュ 「KISS」のポール・スタンレーが使用していた。
以上がジャパンヴィンテージと呼ばれる主な種類です。