昭和の時代から平成にかけてジュニアスポーツ選手達の食事環境と言えばとにかく食べて、身体を大きくすることに重点が置かれていました。
特に野球部を始めとする学校の運動部に所属すれば、量の多い食事を摂り、食事の量にまでノルマを課しておきながら練習中は水分の摂取は禁止。
我慢をして苦しい練習に耐えることが上達の基本とばかりに、現代の指導とは随分と掛け離れていました。
現代のジュニア選手達の食事指導
ジュニア選手と言えども将来のトップアスリートを目指す子供達の食事事情も変化してきています。
競技の技術向上だけでなく、身体づくり、栄養バランスはもちろん食事を摂取する時間にも気をつけるようになっています。
食事はトレーニング直後の30分以内がゴールデンタイム
トレーニングを重視しすぎた結果、食事を疎かにしたために、ガリガリに痩せてしまうことがあります。
トレーニングで消費したカロリーを補充できずにいると、単なるダイエットになってしまいます。
相撲の世界でも稽古を終えて直ぐにちゃんこを食べることで栄養補給しています。
とはいってもトレーニング直後に食事を摂るのは現実的に難しい場合もあります。
そこで捕食で補う手があります。
即効性を求めるのであれば、闇雲に食べさせるだけでなく、量や質、タイミングにまで気を配るようになります。
あとは楽しく食べる事が必要です。
無理に食べることを強要するのではなく、適度にサプリメントやプロテインなども取り入れながらバランスを考える事も必要です。
練習後(なるべく30分以内)に捕食することが望ましい(捕食は食事に影響が出ない程度に・・・)
食品で例えると・・・
肉まん・牛乳・ヨーグルト・ サンドウィッチ・バナナ・チーズ・おにぎり・100果汁ドリンク
練習前の捕食としては
食品で例えると・・・
バナナ・おにぎり・エネルギーゼリー・100%果汁ドリンク・パン(揚げてないもの、アンパン、蒸しパンなど)・和菓子(みたらし団子、まんじゅう、カステラ)
バランスの良い食事
バランスの良い食事と聞くとどんなメニューが良いのかと身構えてしまうのですが、メニューと言うよりも主食や主菜を始めとするバランスを考えることです。
学校給食などがいいお手本ですが、図のようなイメージがいいようです。
主食 体と脳のエネルギー源
主菜 筋肉・靭帯・骨・血液を作る材料
副菜 ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富
汁物 ビタミンやミネラル、水分補給
果物 ビタミンや糖質を補給
乳製品 カルシウムや乳酸菌を補給
成長期を知る
子供の成長期を知るのは難しいと思っていませんか?
成長パターンを理解することで大切な時期に必要なサポートをする事で成長を最大限に活かす事ができます。
スポーツ医学の資料を見ますと、成長期のピークから前後2年の合計4年間が思春期の成長スパートといい、男女差や個人差もあるのですが、10歳頃から15歳頃に訪れます。
この成長スパートに入ったかどうかを確認する方法として、1〜3ケ月に1度は身長を測定し、記録をしておきます。
ピーク時は男子で年間約9㎝、女子は約8㎝の身長が伸びます。
この時期に体重も比例して増やせないとアスリートとしてのスタミナが不足すると考えられます。
必要なのは食事、運動、睡眠です。
成長と骨の関係
食事、運動、睡眠のバランスが悪いと成長スパート期に成長ピークが来ないなどの弊害が起こる事があります。
大事な成長スパート時期に大きな身長の伸びがなかったり、カルシウム不足などにより骨粗しょう症になるなどアスリートとして不利な状況に陥る事も考えられます。
踵(かかと)の痛み
現在我が子は、膝(ひざ)や踵(かかと)の痛みを訴えるようになりました。
膝の時は、いつもお世話になっている接骨院で診てもらい数日でよくなり、またしばらくして痛みが出る。の繰り返しです。
踵の痛みが出るようになり、接骨院からの勧めもあり整形外科で診てもらうことにしました。
レントゲンの画像など確認すると、骨に異常は見られず、一安心しましたが、原因を調べてみると、学校の体育の時間でマラソンのタイムを計る際に、軽く靴底の薄目なシューズを履いていたため、踵やひざに負担がかかっていたのでは?ということでした。
睡眠の量と質
朝食にタンパク質を摂ると夜ぐっすり眠れるようになります。
これはアミノ酸の一種であるトリプトファンが日中にセロトニンやメラトニンといった眠気を引き起こすホルモンが分泌されるからです。
寝る直前には食事は摂らない。
夕食は入眠の2時間前までに済ませる。
成長ホルモンは深い眠りによって分泌されます。
最も深い眠り(ノンレム睡眠)に入るのは寝入って直ぐと言われています。
我々大人もそうですが、ベッドに入ってからもスマートフォンを手放さず、ついつい動画や情報収集してしまいます。
子供も、ゲームや動画、SNSのやり取りで睡眠時間が減っているように思います。
この辺りの親子の「取り決め」が難しくなります。反抗期でもありますから会話も少なくなるために、小言のようになりがちで、悪循環です。
必要な睡眠時間の目安は
6〜13歳で9〜11時間
14〜17歳で8〜10時間
18〜25歳で7〜9時間と言われています。
時間だけでなく「質」にも拘りたいところです。
入眠前にスマートフォンなど「ブルーライト」を浴びると睡眠の質が低下すると言われています。
アスリートの+αの食事 捕食
1日3食のバランスの良い食事と
補食(運動に見合うエネルギーや栄養素)が必要
練習前は炭水化物を摂り、
練習後は炭水化物と、タンパク質を練習後30分以内に摂るのが望ましい。
脂質は消化に時間がかかるため、多く摂らないように心掛ける。
我が家でもここ数年、食費がかなり多くなりました。
学校から帰宅する夕方には必ず「お腹空いた」と言ってお菓子を食べますし、練習前にはガッツリ食事して行きます。
練習後におにぎりやバナナなどの捕食をしていますし、帰宅後にも当然のように夕食を食べます。
最近では同じく水泳選手の妹もよく食べるようになりました。
補食のメニュー例
試合前日のメニュー
消化のいいもの
食べ慣れているものに心掛け、寝る2〜3時間前には食べ終えるようにする。
避けたいものは
脂っこい料理
辛いものや刺激が強いもの
生もの
芋類など食物繊維が多いもの
食べ慣れないもの
試合当日の食事
消化の良い炭水化物中心のメニュー
食物繊維や脂質はなるべく避け、よく噛んで食べる
試合の3〜4時間前までには食事を済ませて、捕食でフォローする。
試合前の食事では安全性に注意する。
緊張すると消化吸収能力が抑制される可能性がある
便秘、下痢などの胃腸系の障害も見られる。
衛生面や試合前の体調に配慮した食事
アスリートのアクシデントに備える 体調管理
風邪
激しい運動直後には免疫機能が低下します。
運動強度が高いほど免疫機能の低下も激しくなります。
手洗い、うがいの他、栄養補給、汗などによる体温の低下に注意
下痢
水分補給や消化の良いものはいいのですが、冷たいものや、食物繊維は摂りすぎに注意
便秘
食物繊維やヨーグルトなどの乳酸菌は採った方がいいでしょう。
最後に プロアスリートと同じではない事を理解する
成長期の健全な成長を保ち、スポーツを通して心と身体を整えていく上で、ジュニア選手達には自分で選択できる力を身につけ、食べる事は成長の助けになる=生きる力と理解する。
「プロのマネをすれば良いわけではない」ということも理解することが必要です。
現在ではユーチューブなどSNSで情報が簡単に入手できますが、成長期に必要な栄養素を十分理解することでアスリートして最大限の成長期を手に入れてください。