高級ブティックアンプの代名詞「Bogner」。 ドイツ人技師ラインホルト・ボグナー氏が1989年にアメリカで産声を上げたこのブランドは、エドワード・ヴァン・ヘイレンが認めた「改造マーシャル」の衝撃から始まりました。

今回は、私が実際に触れた「Uberschall」のレビューを交えつつ、今や伝説となった旧名機から最新ラインナップまで、その魅力を徹底解説します。
1. 【実機レビュー】Uberschall(ウバーシャル)が放つ「本物の圧」
馴染みの店でプラグインさせてもらったUberschall。ドイツ語で「超音速」を意味するこのアンプは、ハイゲインアンプの概念を覆すものでした。
- サウンドの印象: ストラトのシングルコイルですら、きめ細かく分厚い壁のようなトーンに変貌させます。
- 歪みの質: 攻撃的ながらも「抜け」が抜群。エフェクターの歪みが不要と感じるほど、アンプ単体で完成されています。
- 意外なクリーン: ハイゲイン機にありがちな「濁り」がなく、驚くほど艶やか。ギター本来のキャラクターを殺しません。
最近の私はクランチやクリーンを好みますが、ハードロックを追求していた頃なら間違いなく「上がりの一台」になっていたはずです。

2. BognerのDNA:なぜプロに愛されるのか
ボグナーは「マーシャル系のサウンド」をベースにしながら、以下の3点を極限まで昇華させたブランドです。
- 圧倒的なレンジ: どんなに歪ませても音が潰れず、ピッキングの強弱に追従する。
- 音楽的な中音域: 歌うようなリードトーンを生み出す、独特の「腰」のあるミッドレンジ。
- 信頼性: 現場の声を反映した多機能さと、過酷なツアーに耐えうる堅牢さ。
エフェクターやミニタイプのアンプ、他社からはデジタル・シミュレーターが登場していますが、年々オリジナルを手に入れることが難しくなっています。
自動車の電動化が進み、本来、エンジンの持つ独特な音、振動や鼓動から感じる魅力が少なくなったと嘆く声も聞かれるように、今後はクラシックカーのような特別な存在となるのでしょうか。
真空管アンプも良質な真空管の不足や音楽環境の変化によって大型なアンプは年々少なくなっています。
悲しいことですが、真空管の良さが分かる人もいなくなってしまうのかもしれません。
主な使用アーティスト
スティーヴ・ヴァイ / アラン・ホールズワース: テクニカル系ギタリストが求めるレスポンスを体現。
エリック・ジョンソン: その極上のトーンへのこだわりは有名。
松本孝弘 (B’z): 日本におけるBogner人気の火付け役。
3. Bognerアンプ・モデル事典(新旧ラインナップ)
現在では入手困難なモデルも多いですが、その回路設計は現代のモデルやペダルに受け継がれています。
【フラッグシップ】Ecstasy シリーズ
| モデル名 | 特徴 | 状態 |
| 100B / 101B | 初代および標準モデル。3ch仕様のブティックアンプの完成形。 | 伝説の名機 |
| 20th Anniversary | 100B/101Bをさらにブラッシュアップした究極のフラッグシップ。 | 希少 |
| Ecstasy 3534 | 【現行】 35Wながら100W級のサウンド。現代のギグに最適化。 | 主力 |
| Ecstasy 25 | 【現行】 宅録にも対応したキャビネットシミュレーター搭載の小型モデル。 | 人気 |
【個性派・専用機】
- Shiva: 機能を絞り、極上のクリーンとドライブを追求。現在も多くのファンを持つロングセラー。
- Helios / Helios Eclipse: ハンドワイヤードにこだわった、ボグナー流の究極のプレキシ・サウンド。
- Atma 18: 18W/5W/1Wの切り替えが可能。アルミ筐体のモダンな小型アンプ。
【事典に刻む生産完了モデル】
- Uberschall / Twin Jet: 最強のハイゲイン機。
- Goldfinger: 60-70年代のヴィンテージサウンドに特化。
- Telos: 最小のハンドワイヤードモデル。Schizoスイッチによる多彩な音作り。
4.「Bognerサウンド」を手軽に:エフェクターという選択肢
「真空管アンプの維持が難しくなっている」と記事で触れましたが、その対策としてBogner自身がリリースしているペダルシリーズは非常に優秀です。
- Ecstasy Red / Blue: アンプのRed/Blueチャンネルを完全に再現。
- Burnley (Distortion): Rupert Neve Designs社のトランスを搭載した、極上の歪み。
- Wessex (Overdrive): クリーン〜クランチに艶を与える、大人のためのペダル。
ボグナー・サウンドの核である「Ecstasy」の系譜を、かつてのハイエンドの象徴である日本限定カスタム・モデルと、現代の驚異的なヒット作であるMiniという2つの視点から掘り下げます。
特に、Miniを「ただの練習用」で終わらせないためのキャビネット選びは、プロの現場を知る方にとっても興味深い内容になるはずです。
5.新旧ボグナー徹底比較:伝説のCustom Modelと進化のMini
ボグナーの歴史において、この2つは「最高峰のこだわり」と「技術の民主化」を象徴するモデルです。
Bogner Ecstasy “Custom Model” (Japan Limited)
1990年代から2000年代にかけて、日本の輸入代理店とラインホルト・ボグナー氏の緊密な連携により誕生した**「日本限定仕様」**です。
- 設計: 伝説の「101B」をベースに、メタルグリル仕様の外観と、日本のギタリストが求める「粘りと解像度」を両立。
- サウンド: フルチューブ(EL34)ならではの、空気を震わせる立体感。特にBlue/Red chのミッドレンジの密度は、他のアンプでは決して出せない「ボグナーだけの領域」です。
- 価値: 現在では生産完了となっており、中古市場でも「アタリ」の個体を探すのは困難。まさに事典に残すべき歴史的名機です。
Bogner ECSTASY Mini
2020年代、ボグナーのサウンドをより多くの人に届けるべく開発された30Wソリッドステート・ヘッドです。
- 設計: 約1.8kgという驚異的な軽さながら、Ecstasyの「Red ch」の回路をアナログ・ソリッドステートで見事に再現。
- 機能: Variacスイッチ(電圧調整によるサグ感のシミュレート)や、3種類のPre-EQ、Mid-Freqスイッチを搭載し、上位機種に肉薄する音作りが可能。
- 価値: 宅録、自宅練習、小規模なギグまでをカバーする、現代のギタリストにとっての「最強のサブ機」かつ「入り口」です。
スペック比較表
| 項目 | Ecstasy Custom Model (JP) | ECSTASY Mini |
| 駆動方式 | 100% 真空管 (EL34) | ソリッドステート |
| 出力 | 100W | 30W |
| 重量 | 約 21kg | 約 1.8kg |
| チャンネル | 3ch (独立EQ) | 1ch (トグルスイッチで可変) |
| サウンドの核心 | オーガニックな立体感と音圧 | エッジの効いたモダン・ハイゲイン |
6.ユーザーレビュー・口コミ:現場からの声
Custom Model ユーザーの声
「101Bよりも低域がタイトで、速いフレーズでも音が潰れない。音を鳴らした瞬間、自分が上手くなったと錯覚させるほどのレスポンス。」
「とにかく重いが、ライブハウスで鳴らした時の存在感は唯一無二。デジタルシミュレーターがどれだけ進化しても、この『喉を鳴らすような歪み』は再現できない。」
ECSTASY Mini ユーザーの声
「最初は期待していなかったが、繋いで驚いた。ピッキングに対する食いつきがボグナーそのもの。Variacスイッチをオンにした時のコンプ感が心地よい。」
「自宅でこの音が出せるのは革命。ラインアウトも優秀で、DAWでのレコーディングでも一線級の音。ただし、クリーンを求めるアンプではない(笑)」
7.Miniを検討している人へ:おすすめキャビネット3選
ECSTASY Miniはヘッドが非常に優秀なため、**「どのスピーカーで鳴らすか」**で化けます。12インチ1発(1×12)が基本ですが、ボグナーらしさを引き出す組み合わせを紹介します。
① Bogner 112 Cube (Celestion Vintage 30)
【王道の組み合わせ】
- 特徴: 「12インチ1発とは思えない重低音」で知られる伝説のキャビ。バルティックバーチ材とデュアル・フロントポート設計により、Miniの30Wをフルに活かした肉厚なサウンドが得られます。
- こんな人に: 「とにかくボグナーの音が欲しい」なら、これ以外の選択肢はありません。
② Bogner 112CP (Celestion G12H30)
【ヴィンテージ・クランチ重視】
- 特徴: オープンバックのような広がりを持ちつつ、ボトムもしっかり出る設計。G12H30スピーカーは、Miniのハイゲインを少しマイルドにし、クラシック・ロック寄りの艶やかな音にしてくれます。
- こんな人に: クランチ〜ミッドゲインを多用し、部屋全体を包み込むような鳴りを求める方に。
③ Mesa/Boogie 1×12 Widebody
【モダン・ハイゲイン特化】
- 特徴: ワイドボディ設計により、低域の再生能力が極めて高い。MiniのRed chの歪みを最大限に活かし、現代的なメタルやドロップチューニングにも対応できるタイトなサウンド。
- こんな人に: 自宅でも「壁」を感じるような重厚な歪みを鳴らしたい方に。
【ここまでのまとめ】
Custom Modelという「本物の巨像」を知る者として、Ecstasy Miniを触ると、ラインホルト・ボグナーがいかに「音の核」を抽出する天才であるかが分かります。
かつて数十台のMarshallを使い込み、ヴィンテージMarshallを研究しつくした彼が、現代のギタリストに贈った「手のひらサイズのEcstasy」。それは、過去の遺産を整理し、未来へ繋ぐための最適解と言えるでしょう。
ラインナップ
Bogner Ecstasy
1992年最初のモデル100Bが発売。1995年にはより派生させた101Bを発売。
2001年にはClassicが発売(販売終了)
Green クリーンチャンネル Blue、RedはゲインチャンネルでRedはより高いゲインが得られる。
カスタムモデル

日本仕様、3ch仕様、80年代を最も繁栄していたギターシーンを再現させるRed ch、オールドアンプサウンドから現代の汎用性を持たせたサウンドまで幅広くカバー。
ボグナー20thモデル

これまでの代表機100B、101B、Classicを進化させ、また多くの改善を行ったモデル。
新たなフラッグシップモデル
Uberschall 製造中止
ドイツ語で「超音速」を意味する。
ヘヴィさとアグレッシブなサウンド、2ch仕様、クリーンとゲイン
Twin Jet 製造中止
2009年発売。パワフルなゲインチャンネルを2つ用意
Helios
50Wと100Wの2種類、ハンドワイヤード仕様、2ch
Shiva
機能性を最小限に抑え、ブースト回路を搭載。2ch
Goldfinger 製造中止
45Wと90Wの2種類、クリーンchではブライト感の調整が可能、
ゲインチャンネルでは60~70年のサウンドとコンプレッションの強い80年代のサウンドを切り替えることができる。
ATMA 18
アッテネータを内蔵、18W、5W、1Wに切り替え可能。
3ch仕様。
小型アンプに多彩な機能を詰め込んだモデル。
Duende 製造中止
リバーブ、トレモロ内蔵の小型2ch仕様。
2つのチャンネルを同時に出力も可能。
Barcelona
40W仕様。
ジャズやカントリースタイルからエフェクター使用を目的にしたスタイル用にクリーントーンを主体にしたモデル
New Yorker
50年代のツイードアンプのようなシンプルなコントロールで12Wでありながらクリーンで音圧のあるクリーンサウンドが特徴。
Telos 製造中止
ハンドワイヤードシリーズ最小アンプ。40Wと20Wを選択可能。 チューブ・バッファー・シリーズのエフェクト・ループを搭載。 新しく進化した6ポジション「Schizo」ロータリーセレクター搭載。 Schizoは、プリ・アンプとパワーアンプの11個のパラメータのマトリクスを制御し、コンデンサのさまざまな組み合わせ、ゲインステージ、フィードバック回路をコントロールしています。 また、ブースト回路を使ってゲインを追加することもできます。
Herios Eclipse
Heliosを元に設計、100Wでありながら50Wサイズにまとめた外観。3ch仕様 ハンドワイヤード
Goldfinger Super Lead
リデザインされたGoldfingerの進化版。
3つのモードスイッチが加わり、多彩なサウンド造りが可能に。
Ecstasy25
Ecstasy101Bを彷彿させるサウンドに、自宅でのレコーディングの為のキャビネットシミュレーター搭載。

Bogner [ボグナー] Oxford
8. まとめ:変わりゆく環境と「本物」の価値
自動車が電動化されるように、音楽環境もデジタルシミュレーターが主流になりつつあります。大型の真空管アンプを鳴らせる環境は、年々貴重なものになっています。
しかし、真空管アンプだけが持つ「空気の震え」や「指先に伝わる鼓動」は、決して消えることはありません。 たとえ生産が終了したモデルであっても、その音が刻んだ歴史は、今の音楽の中にも生き続けています。
いつかは手にしたい一台。Bognerは、ギタリストにとっての「永遠の夢」であり続けるでしょう。
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- 情報の鮮度と正確性について: 本記事で紹介しているBognerアンプの一部(Custom Model、Uberschall等)は現在生産を終了しており、記載内容は筆者の現役時代の経験および執筆時点での市場データに基づいています。最新のラインナップや仕様については、必ず正規輸入代理店(株式会社ミュゼットジャパン等)の公式サイトをご確認ください。
- 個人の見解: サウンドの評価やレビューは、筆者の主観によるものです。使用するギター、キャビネット、演奏環境によって感じ方は異なります。高価な機材購入の際は、可能な限り実機での試奏をお勧めいたします。
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