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水泳をやめたいと言い出した日——JO出場まで父親が後悔した「声かけの失敗」と、やる気を取り戻した意外なきっかけ

水泳 水泳記録
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📋 この記事でわかること

  • 「やめたい」が出るタイミングと、その言葉の裏にあるもの
  • 父親の声かけでやる気を奪う3つのパターンと実際の失敗
  • スランプ・記録停滞期を抜け出した意外なきっかけ
  • 反抗期×競技のダブルプレッシャーをどう乗り越えたか
  • 燃え尽き症候群(バーンアウト)の早期サインと対処法
  • 対象:スイミング選手コースに通うジュニアとその保護者
  • 内容:実体験をもとに、やる気の浮き沈みと父親の関わり方を記録
  • 特徴:結果論ではなく「当時の迷い・失敗」をそのまま残している
  • 位置づけ:JO出場記録シリーズの番外・メンタル編

長男が初めて「水泳、やめたい」と言ったのは、小学6年の秋のことです。

JOに初出場してから2年。毎年夏と春の大会を目標に練習を重ねていた長男が、ある日帰宅するなり無言でソファに倒れ込み、そのひと言を言いました。

とっさに返した言葉が「何言ってるんや、せっかくここまで来たのに」。

今思えば、それが最悪の一言でした。

「せっかくここまで来た」は親の都合です。長男が疲れていたのは、まさにそこまで来た道のり全部でした。その夜、長男は夕食も食べずに部屋に消えました。

この記事では、JO出場・大阪府強化選手だった長男を10年以上見てきた父親の立場から、「やる気を奪う声かけの失敗」と、スランプを抜け出したきっかけを正直に記録しておきます。


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「やめたい」は本当にやめたいわけではない

選手コースに通う子供が「やめたい」と言うとき、その言葉をそのまま受け取ると判断を誤ります。多くの場合、「今の状況がしんどい」というSOSです。

長男の場合を振り返ると、「やめたい」が出るタイミングにはパターンがありました。

  • 記録が半年以上止まっていた時期——練習はしているのに結果が出ない焦り
  • 大きな大会の直後——目標を達成した後の燃え尽き、または期待を裏切った自己嫌悪
  • 後輩にタイムで抜かれた時——自分の現在地を突きつけられる悔しさ
  • 学校生活が重なった時期——受験・人間関係・授業と練習の両立限界
  • 身体に痛みが出ている時——肩や腰の慢性的な痛みを誰にも言えないまま抱えている

「何で今さら」と思う場面ほど、何か積み重なってきたものが弾けた瞬間です。その言葉の裏に何があるか、まず黙って聞くことが先決でした。

父親の声かけで「やる気を奪う」3つのパターン——実際にやらかした話

①「せっかくここまで来たのに」

冒頭の話がまさにこれです。

子供のしんどさを受け取る前に、親側の「投資と期待」を正当化する言葉です。長男の立場からすれば「親のためにやらされている」という感覚を強めるだけでした。

②コーチに先回りして相談してしまった

記録が止まっている時期、私はコーチに練習メニューを変えてもらおうと動きかけました。長男に「コーチに話してみるか」と持ちかけたところ、「やめてくれ」と強く言われました。

無視して相談してしまいました。

翌週から長男の練習への態度が変わりました。「勝手に動かれた」という不信感です。support1〜5のシリーズを通じて一貫して心がけていた「技術面はコーチに任せる」の原則を、この時だけ崩してしまった失敗でした。

③試合後の第一声が「何秒やった?」

ある時、長男から「タイムのことしか聞かへんな」と言われました。

刺さりました。自分ではサポートしているつもりが、長男の目には「タイムを管理している人」として映っていたわけです。

support3の記録にも書きましたが、帰りの車中で試合の実況中継が自発的に始まる日もあれば、何も言わなかった日もある。その違いは、こちらが水泳の話を先に振ったかどうかでほぼ決まっていました。

スランプを抜け出したきっかけ——「目標から外した」3ヶ月

「やめたい」の夜から2週間後、長男は自分から「練習は行く」と言いました。ただし私との間には微妙な距離ができていました。

転機になったのはコーチからの提案でした。

「3ヶ月間、タイムを計る練習をやめて、フォームだけに集中させます」

大会エントリーもなし。タイム計測もなし。ただ泳ぎの質だけを磨く期間です。

正直、不安でした。3ヶ月のブランクはそのまま遅れになるという焦りがありました。ただ、コーチへの信頼を優先してこの提案を受け入れることにしました。

3ヶ月後、久しぶりにタイム計測した日のことは今でも覚えています。タイムが大幅に伸びていたというより、泳いでいる姿そのものが変わっていました。練習後に「楽しかった」とひと言。

目標から一度距離を置いたことで、泳ぐこと自体の手ごたえを取り戻せた——これが長男のスランプ脱出の核心でした。「頑張れ」と負荷をかけることが常に正解ではない、ということをこの時に学びました。

support4の記録でも書きましたが、予選でタイムが出ない日に思い切って試合途中で所属クラブの練習に参加させたことがありました。あの「気分転換」と同じ発想です。

反抗期×競技——「引く」という戦略

中学に上がってから、長男との会話が激減しました。試合結果も聞かないと教えてくれなくなり、練習の悩みは完全にクローズド。「大丈夫か」と聞けば「別に」。

そこで選んだのは「先に話しかけない」という方針でした。水泳の話は長男が自分から振ってきたときだけ応じる。夕飯の席では食べ物の話か学校の話を先に振る。

半年ほど続けると、長男のほうから話しかけてくる機会が少しずつ増えてきました。「今日○○先輩のターンを見てたら気づいたことがあって」という話が自然に出るようになりました。

前のめりになればなるほど、子供は距離を置きます。support3でも書いた「技術的なことは素人が口出しをしない」の延長線上の話です。

やりがちな行動 代わりにやったこと
「タイムどうやった」と先に聞く 「今日どうやった」と泳ぎの感想を待つ
コーチ・仲間関係に先回りして動く 長男が「どうしたらいい」と聞いてきてから動く
「頑張れ」「負けるな」と声をかける 「お疲れ」だけ言って待つ
試合映像をその場で一緒に分析する 映像を残しておき、長男が見たいと言ったら一緒に見る

燃え尽き症候群のサインを見逃さない

長男が選手生活を一時離れることになった時、振り返れば半年以上前からサインが出ていました。「身体の問題」として見ていた期間が長すぎました。

注意すべきサイン(複数重なる場合は要注意)

  • 練習前になると頭痛・腹痛を訴える
  • 以前は楽しんでいた試合前が「嫌だ」になっている
  • 睡眠が乱れている(眠れない、または寝すぎる)
  • 食欲の変化(極端に増えた・減った)
  • 「どうせ無理」「やっても意味ない」という言葉が増える
  • 練習後の実況中継(自発報告)が完全に止まった

特に最後の「実況中継が止まる」は、長男を長く見ていた中で気づいた独自のサインです。調子のいい日は車中でしゃべり倒すのに、それが全くなくなった時期が、後から考えると一番危なかった。

💡 怠けとバーンアウトを見分ける一つの基準

「水泳以外のことに楽しさを感じられているか」を確認してください。友人と遊んだり別の趣味で動けているなら、水泳特有の疲弊の可能性が高い。あらゆることへの意欲が落ちているなら、専門家(スポーツ心理士・カウンセラー)への相談を検討してください。

「勝ち癖」のつくり方——小さな目標で自信を積み上げる

support4の記録でコーチが長男にやっていたのが、「今日の練習で一つだけ改善することを決める」という習慣でした。タイムではなく、ターンの踏み切り角度だとか、ラスト5mのストロークを崩さないだとか、技術的な小さなテーマを毎日持つ。

そのテーマをクリアできた感覚があれば、それが小さな成功体験になります。

長男も「俺、進化した」(自己ベストを出した日の口癖)が久しぶりに聞けた日は、翌週の練習への取り組みが明らかに変わっていました。成功体験が自信になり、自信が練習の質を上げる——この循環が回り始めると、親が何も言わなくても動いてくれます。

親にできるのは小さなテーマを一緒に設定することではなく、帰りの車中で「今日は何を意識して泳いだ」と問いかけて、長男自身が言語化する手伝いをすることでした。答えを与えるより、引き出す問いかけのほうが効果がありました。

コーチとの役割分担——父親はどこまで関与すべきか

シリーズ全体を通じて一貫してきた方針があります。

技術と練習メニューはコーチの領域。メンタルと生活習慣は親の領域。

この境界を崩した時が一番うまくいきませんでした。

support3でも書きましたが、送迎の車中でついつい技術的な小言を言ってしまった翌日は、練習に「キレ」がない。逆に水泳の話を一切しなかった日は、長男のほうから練習成果を満足そうに報告してくることがありました。

父親がコーチに相談するのは、長男から「話してくれ」と頼まれた時と、怪我や体調の判断が必要な時だけ——この原則を崩さないことが、コーチとの信頼関係を保つためにも大切でした。

「やめなくてよかった」——その言葉を長男が言った日

長男がトレーナーを目指す大学生になった今、ある時こんなことを言いました。「あのスランプの時期があったから、今がある気がする」と。

選手生活を一時離れた決断が失敗だったとは思っていません。怪我と向き合い、身体の限界を知り、それでも水泳が好きだという気持ちを確認できた時間だったと、本人はそう話しています。

父親として、この10年で学んだことは結局シンプルです。

  • 「やめたい」を最後まで黙って聞く
  • タイムではなく、長男自身を見る
  • 引くべき時に引く
  • 「実況中継が止まった」サインを見逃さない
  • 技術はコーチに、生活と気持ちは親が支える

10年以上かけて、失敗しながらたどり着いたことはこれだけでした。

よくある質問

Q. 長男が「水泳をやめたい」と言い出しました。どう対応すればいいですか?

まず黙って最後まで聞くことが先決です。「せっかくここまで来たのに」「頑張れ」はやる気を奪う言葉になりがちです。やめたいと言い出した背景(記録の停滞・人間関係・身体の疲弊など)を焦らず確認し、子供自身が「どうしたいか」を考える時間を与えることが重要です。

Q. スランプが長引いています。父親にできることはありますか?

技術面はコーチに任せ、生活環境(食事・睡眠・休養)を整えることに集中するのが基本です。「目標から一時的に離れる」期間を設けることも有効で、タイムや結果への言及を減らし、「今日の練習どうやった?」と泳ぎの感想を聞く声かけに切り替えてみてください。

Q. 燃え尽き症候群かどうか、どう見分けますか?

「水泳以外のことに楽しさを感じられているか」が一つの基準です。帰りの車中での自発的な報告(実況中継)が完全に止まった時期も要注意サインです。あらゆることへの意欲が落ちているなら、スポーツ心理士やカウンセラーへの相談を検討してください。

Q. 反抗期の子供に水泳のことを話しかけるコツはありますか?

「引く」のが最も有効でした。こちらから水泳の話を振るのをやめ、子供が話しかけてきた時だけ応じる。試合結果より「今日どうやった?」という問いかけのほうが、反抗期の子供には入りやすいです。

Q. 父親がコーチに相談するタイミングはいつですか?

子供から「話してくれ」と頼まれた時、または怪我・体調など医療的判断が必要な場面に限るのが基本です。技術面や練習内容への親の介入は、子供とコーチの信頼関係を壊すリスクがあります。

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